2026年に日本で導入される共同親権とは?離婚・親権手続きへの影響や弁護士費用の相場まで徹底解説

更新日 Aug 21, 2026

  • 制度の基本構造: 2026年4月に施行された改正民法により、離婚後の親権として「単独親権」に加えて「共同親権」を選択できるようになりました。
  • 権限の明確な分担: 共同親権でも日常の監護(日々の食事や習い事など)は同居親が単独で決定できます。一方、転居・進学・重大な医療行為には双方の同意が必要です。
  • 調停のタイムライン: 親権を巡る家庭裁判所の調停手続きは、解決までに平均6ヶ月から12ヶ月ほどかかります。
  • 弁護士費用の相場: 離婚や親権調停を弁護士に依頼する場合、着手金30万〜50万円、報酬金30万〜60万円程度が標準的な目安です。
  • 単独親権の適用ケース: DVや虐待のリスクがある場合、裁判所の判断で必ず単独親権が指定されます。

2026年導入の「共同親権」とは?単独親権との違い

2026年4月1日施行の改正民法により、日本の離婚後親権制度が変わりました。従来は父母のどちらか一方のみを親権者とする「単独親権」しか選べませんでしたが、父母の協議または家庭裁判所の判断により「共同親権」を選択できます。

離婚後も両親が子どもの養育に責任を持つ仕組みですが、すべてのケースで共同親権が適用されるわけではありません。配偶者暴力(DV)や子どもへの虐待のリスクがある場合は、家庭裁判所が単独親権を指定します。

単独親権と共同親権の比較

項目 単独親権 共同親権(2026年導入)
親権者の扱い 父母のどちらか一方 父母双方、または一方(協議・審判による)
日常の決定(食事・習い事など) 親権者が決定 同居して主に監護する親が単独で決定
重要事項(進学・転居・重大な治療) 親権者が決定 父母双方の合意が必要(対立時は裁判所が判断)
緊急時の決定(急病・事故など) 親権者が決定 一方の親が単独で決定可能
DV・虐待ケースの適用 単独親権 裁判所が必ず単独親権を指定

法の詳しい規定や制度の詳細は、法務省:民法等の一部を改正する法律についてで確認できます。

離婚協議・家庭裁判所における調停手続きの流れとタイムライン

離婚協議から家庭裁判所の調停・訴訟手続きまでの流れと各ステップの平均所要期間を示したタイムライン図
離婚協議から家庭裁判所の調停・訴訟手続きまでの流れと各ステップの平均所要期間を示したタイムライン図

親権や離婚条件の交渉は、まず当事者間の「協議」から始まります。合意に至らない場合は家庭裁判所の「調停手続き」へ移行します。調停へ移行した場合は、半年から1年程度の期間を見込むのが一般的です。

共同親権の導入により、「どちらが引き取るか」だけでなく「共同親権と単独親権のどちらが子の利益に適するか」の検討が必要になりました。初期段階から整理して臨むことがスムーズな解決につながります。

[当事者間の離婚協議] (1〜3ヶ月) │ ├─ (合意成立) ──> 離婚成立 (公正証書作成) │ └─ (不成立) ───> [家庭裁判所への調停申立て] │ ├─ 第1回期日 (申立てから約1〜2ヶ月後) ├─ 継続期日・家裁調査官の調査 (数ヶ月) │ ├─ (調停成立) ──> 調停離婚成立 └─ (不成立) ───> [審判手続きまたは離婚訴訟] (6ヶ月〜1年以上)

  1. 当事者間での協議(1〜3ヶ月): 親権の形態(共同か単独か)、養育費、面会交流の頻度を話し合います。合意できた場合は離婚協議書を公正証書で作成します。
  2. 家事調停の申立て(1ヶ月): 協議が難航した場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ離婚調停を申し立てます。手続きの詳細は裁判所:家事調停手続にて確認可能です。
  3. 調停期日の実施(4〜8ヶ月): 1ヶ月〜1.5ヶ月に1回のペースで調停期日が開かれます。調停委員が双方の意見を聞き、合意を目指します。必要に応じて家裁調査官が子どもの生育環境を調査します。
  4. 調停成立または審判・訴訟への移行: 双方の合意が得られれば調停成立となります。合意に至らない場合、裁判所が審判を下すか離婚訴訟へ進みます。

共同親権が養育費と面会交流に与える実務的影響

「共同親権を選べば養育費の支払いが不要になる」「無制限に面会交流ができる」といった考えは誤りです。共同親権であっても、子どもと同居して日常的に監護する親(主たる監護者)と別居する親という役割分担が生じます。

養育費算定への影響

養育費の支払義務は、親権の形態にかかわらず親であること自体から生じる法的義務です。裁判所が公表している養育費算定表をベースに、双方の年収や子どもの人数・年齢に応じて算出される実務は変わりません。別居親が学費や医療費を直接負担する場合、その金額を養育費からどう控除するか具体的に取り決めます。

面会交流への影響

共同親権下での面会交流は、単なる面会にとどまらず、教育や医療などの重要事項を協議・情報共有する機会としても機能します。面会交流のスケジュールだけでなく、学校行事への参加権限、連絡ツール(専用アプリやメール)の指定など、具体的な運用ルールを定めるケースが増えています。

トラブルを防ぐための実務的対策チェックリスト

離婚後のトラブルを防ぐには、どの範囲を共同で決定し、どの範囲を単独で決定できるかを離婚成立前に明確にしておくことが重要です。

協議書や調停調書を作成する際は、以下のチェックリストを活用してください。

共同親権・協議事項の実務チェックリスト

  • 日常の監護権者の指定: 住居地、日々の生活指導、習い事の選定など、同居親が単独で決定できる範囲を定めたか。
  • 重大事項の決定ルール: 進学(私立受験・留学など)、転居、重大な医療行為における事前の通知期限と協議方法を決めたか。
  • 意見対立時の解決手段: 重要事項で意見が対立した場合に、裁判所の手続きに入る前の相談ステップを設けたか。
  • 緊急時の対応方針: 急病や事故など緊急時において、現場にいる親が単独で決定できる旨を明記したか。
  • 養育費の振込口座と支払期日: 基本的な養育費の金額、振込期日、特約(進学時の特別加算など)を具体化したか。
  • 面会交流の運用ルール: 実施頻度、受渡場所、費用負担、連絡方法、写真や通知表の共有義務を明記したか。

弁護士に依頼した場合の費用相場

親権トラブルや離婚調停を弁護士に依頼する場合、費用は主に「着手金(初期費用)」、「報酬金(成功報酬)」、「実費・日当」で構成されます。

離婚・親権調停における弁護士費用の目安

費用項目 相場(税込) 内容・支払時期
法律相談料 初回無料 〜 30分 5,500円 依頼前の見通し確認や受任範囲の決定
着手金(初期費用) 30万円 〜 50万円 契約時に支払う基本手数料(返金不可)
報酬金(成功報酬) 30万円 〜 60万円 親権獲得や経済的利益などの成果に応じて支払う
実費・日当 2万円 〜 5万円程度 収入印紙代、切手代、裁判所への出張日当(1回1万〜2万円)

親権に強い争いがある場合や、財産分与・慰謝料請求が同時に発生する場合は、着手金・報酬金が10万〜20万円ほど加算されることがあります。費用の詳細は委任契約書で必ず確認してください。日本全国の弁護士を探す際は、Lawzana Japan 弁護士検索などで比較・検討できます。

共同親権に関するよくある3つの誤解

制度の導入にあたり、インターネット上の誤った情報や先入観による混乱が見られます。代表的な3つの誤解を整理します。

誤解1:「共同親権になれば、養育費を支払わなくてよくなる」

事実: 養育費は子どもの権利であり、親権の形態とは無関係です。共同親権であっても、子どもと同居して日常の面倒を見る親の負担を補うため、非同居親には養育費の支払義務があります。

誤解2:「引越しや予防接種など、すべての生活決定に相手の同意が必要になる」

共同親権における日常の監護・重要事項・緊急時の決定権限の範囲と具体例を整理した解説図
共同親権における日常の監護・重要事項・緊急時の決定権限の範囲と具体例を整理した解説図

事実: 日常の監護行為(日々の食事、風邪薬の服用、短期の習い事など)は、同居している親が単独で決定できます。双方の同意が必要なのは、進学先の選定、転居、重大な手術など、子どもの環境や健全な発達に重大な影響を与える事項に限られます。

誤解3:「DVや虐待があっても、強制的に共同親権にされてしまう」

事実: 改正民法では、DVや虐待のリスクがある場合、家庭裁判所は必ず「単独親権」を命じます。安全が脅かされる恐れがある場合は、保護命令の申立てや警察への相談記録などを証拠として提示することで単独親権が認められます。

よくある質問 (FAQ)

過去に離婚して「単独親権」になっている場合、共同親権に変更できますか?

法改正前に単独親権で離婚した場合であっても、家庭裁判所に「親権者変更の調停・審判」を申し立てることで共同親権へ変更できます。ただし、変更が子どもの利益に合致すると裁判所が判断した場合に限られます。

共同親権下で相手と意見が対立し、進学手続きが進まない場合はどうすればいいですか?

父母間での協議が不成立となった場合、家庭裁判所に「親権行使に関する指定の調停・審判」を申し立てることができます。裁判所がどちらの主張が子どもの利益に適しているかを判断し、特定事項の決定権限を一方の親に付与します。

共同親権の取り決めは、必ず公正証書にする必要がありますか?

法的義務ではありませんが、将来のトラブル防止や養育費の強制執行(給与差押え等)を可能にするため、離婚協議書は「執行草案付きの公正証書」として公証役場で作成しておくのが実務上確実です。

弁護士に相談すべきタイミングと次のステップ

共同親権制度のもとでの離婚手続きは、親権の形態や監護権の分担など条件交渉が複雑になります。特に以下の状況では、自力で進める前に弁護士へ相談するのが妥当です。

  • 相手方がDVや虐待を行っていたにもかかわらず、共同親権を主張して譲らないとき
  • 子どもの転居や進学先を巡って意見が真っ向から対立しているとき
  • 相手が提示してきた養育費や面会交流の条件が妥当か判断できないとき
  • 将来の不履行を防ぐための「離婚協議書(公正証書)」を作成したいとき

解決に向けた具体的手順

  1. 現状の整理: 夫婦の財産状態、子どもの生活状況、これまでの育児実績を時系列でメモにまとめます。
  2. 証拠の確保: 相手の収入証明(源泉徴収票など)や、DV・モラハラがある場合はその音声・LINE・診断書などの証拠を確保します。
  3. 弁護士の初回相談: 家事事件・親権問題の経験が豊富な弁護士の初回相談を利用し、自身と子どもにとって最適な選択肢(単独親権か共同親権か)の見通しを立ててください。

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