日本でのスタートアップ設立完全ガイド-外国人起業家が必要なビザ取得から会社登記までの全手順

更新日 Feb 10, 2026

  • 適切な法人格の選択: 外部からの資金調達を予定している場合は株式会社(KK)、運営の柔軟性とコスト重視なら合同会社(GK)が適しています。
  • 経営・管理ビザの要件: 500万円以上の資本金、または2名以上の常勤職員の雇用、そして「独立した実体のあるオフィス」の確保が必須条件です。
  • 設立期間: 準備から登記完了まで通常2週間から1ヶ月程度を要しますが、ビザ申請を含めるとさらに数ヶ月かかります。
  • 法人口座の難易度: 日本の銀行による法人口座開設は審査が厳しいため、事業計画書の精度と実体のある事業運営の証明が鍵となります。
  • 専門家の活用: 登記は司法書士、ビザは行政書士と、日本の複雑な行政手続きには専門家のサポートが不可欠です。

株式会社(Kabushiki Kaisha)と合同会社(Godo Kaisha)の比較

日本でビジネスを展開する際、最も一般的な形態は株式会社(KK)と合同会社(GK)の2種類です。株式会社は日本で最も社会的信頼度が高く、将来的な株式公開(IPO)やベンチャーキャピタルからの資金調達を視野に入れているスタートアップに適しています。一方、合同会社は設立費用が安く、内部の意思決定プロセスを自由に設計できるため、小規模なスタートアップや外資系企業の日本支社として選ばれることが多い形態です。

以下の表で、主要な違いを比較します。

項目 株式会社 (KK) 合同会社 (GK)
社会的信頼度 非常に高い 中程度(普及しつつある)
設立費用(登録免許税等) 約20万円〜25万円 約6万円〜10万円
定款の認証 必要(公証役場) 不要
意思決定 株主総会・取締役会 社員の合意(定款で自由設計)
利益分配 出資比率に応じる 自由に設定可能
資金調達(エクイティ) 容易(株式発行) 困難

経営・管理ビザ取得に必要な資本金とオフィス要件

外国人起業家が経営・管理ビザを取得するために必要な、資本金・オフィス・事業計画の3つの要件
外国人起業家が経営・管理ビザを取得するために必要な、資本金・オフィス・事業計画の3つの要件

日本で外国人起業家が事業を運営するためには、在留資格「経営・管理」の取得が必要です。このビザの審査では、事業の継続性と安定性が厳しくチェックされます。特に「500万円以上の資本金の出資」または「2名以上の常勤職員の雇用」という規模要件が基本となります。

また、オフィスの要件は非常に厳格です。

  • 実体のあるスペース: バーチャルオフィスや住居用マンションの一室(住居と明確に区切られていない場合)は、原則として認められません。
  • 賃貸借契約の目的: 契約書上の使用目的が「事業用」または「店舗・事務所」である必要があります。
  • 設備の備え付け: デスク、PC、電話機など、即座に事業を開始できる実態が必要です。

設立登記とビザ申請のステップ・スケジュール

日本での会社設立登記から経営・管理ビザ取得までの標準的なスケジュールとプロセス解説図
日本での会社設立登記から経営・管理ビザ取得までの標準的なスケジュールとプロセス解説図

日本での会社設立プロセスは、大きく分けて「定款作成」「資本金払込」「登記申請」の3段階です。法務局への登記申請から完了までは通常1〜2週間ですが、その前の準備期間を含めると全体で約1ヶ月を見込むのが現実的です。

会社設立・ビザ取得までの実務チェックリスト

このリストは、日本での起業を目指す方が最初に行うべきアクションステップです。

  1. [ ] 商号(社名)の決定と類似商号調査: 管轄の法務局で同じ住所に同名の会社がないか確認します。
  2. [ ] 目的(事業内容)の決定: 将来行う可能性のある事業も含めて記載します。
  3. [ ] 定款(ていかん)の作成と認証: 公証役場で電子認証を受けることで、印紙代4万円を節約できます。
  4. [ ] 資本金の払い込み: 発起人の個人口座に資本金を振り込み、通帳のコピーを取ります。
  5. [ ] 法務局への登記申請: 申請した日が「会社設立日」となります。
  6. [ ] 税務署等への届け出: 設立後速やかに法人設立届出書を提出します。
  7. [ ] 出入国在留管理局へのビザ申請: 登記完了後、登記事項証明書を添えて申請します。

スタートアップ向けの公的支援制度と法的な代替案

日本政府は「スタートアップ・エコシステム」の構築に注力しており、外国人起業家向けの規制緩和を進めています。特に注目すべきは「外国人起業促進事業(スタートアップビザ)」です。通常、ビザ申請前にオフィス確保や出資を完了させる必要がありますが、自治体(東京都、福岡市など)の確認を受けることで、最大6ヶ月〜1年間の準備期間が与えられる制度があります。

また、日本貿易振興機構(JETRO)の「対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)」では、オフィススペースの提供や専門家による無料コンサルティングを行っています。これらの制度を活用することで、初期費用のリスクを抑えながら日本市場への参入が可能です。

法人口座開設における審査のポイントと注意点

会社設立登記が完了しても、すぐに銀行口座が持てるわけではありません。近年のマネーロンダリング対策の強化により、新設法人の口座開設審査は非常に厳格化しています。

審査を通るための重要なポイントは以下の通りです。

  • 詳細な事業計画書: 「何を」「誰に」「どうやって」販売し、収益を上げるのかを具体的に示す資料。
  • Webサイトの整備: 事業内容が確認できる公式HPがあることは、信頼性の証明になります。
  • 資本金の出所: 資金がどこから来たのかを説明できる証跡が必要です。
  • 本人確認資料: 外国人の場合は在留カードやパスポートに加え、日本での居住実績も問われることがあります。 大手銀行(メガバンク)は審査が厳しいため、まずはネット銀行(GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行など)や、オフィスの近くの地方銀行・信用金庫へアプローチすることをお勧めします。

日本での会社設立に関するよくある誤解

1. 資本金は1円でもビザが取れる?

法律上、資本金は1円から会社設立が可能ですが、経営・管理ビザの取得には「500万円以上の投資」という実務上の要件があります。ビザが必要な外国人起業家にとって、1円起業は現実的ではありません。

2. バーチャルオフィスで登記すれば安く済む?

登記自体はバーチャルオフィスでも可能ですが、経営・管理ビザの申請では「実体のある事務所」が不可欠です。ビザを前提とする場合は、最初から要件を満たすオフィスを契約する必要があります。

3. 日本人のパートナーが必ず必要?

かつては日本居住者の代表取締役が必須でしたが、現在は法改正により、取締役全員が海外居住者であっても会社設立が可能です。ただし、銀行口座の開設や実務上の手続きにおいて、日本在住の協力者がいないと困難を極めるケースが多いのが実情です。

よくある質問(FAQ)

Q: 会社設立からビザ取得まで、トータルでいくら費用がかかりますか?

A: 株式会社の場合、登録免許税や公証人手数料で約25万円、資本金500万円、オフィス初期費用、行政書士・司法書士報酬を含めると、最低でも600万円〜700万円程度の自己資金を準備しておくことが望ましいです。

Q: 外国からリモートで日本の会社を設立できますか?

A: 可能です。ただし、日本の印鑑証明書を持っていない場合、本国の公証人によるサイン証明書などの書類準備が必要となり、手続きが複雑になります。

Q: 登記が完了すれば、すぐにビジネスを始めてもいいですか?

A: 登記はあくまで「法人の誕生」です。飲食業や中古品売買(古物商)、旅行業など、業種によっては別途「許認可」が必要になります。無許可での営業は罰則の対象となるため注意が必要です。

弁護士や専門家に相談すべきタイミング

日本の会社法と入管法は密接に関連しており、一方の手続きを誤るともう一方が成立しなくなる「デッドロック」に陥るリスクがあります。

以下のような場合は、すぐに専門家へ相談してください。

  • ビザ取得と登記を並行して行う場合: 入管局の要求する「事業の継続性」を書類でどう証明するか、プロの戦略が必要です。
  • 複雑な出資構造を持つ場合: 海外の親会社からの出資や、エンジェル投資家を受け入れる場合。
  • 許認可が必要な業種: 法律上の要件を満たす定款の記載や設備基準の確認が必要な場合。

次のステップ

  1. 事業計画の策定: 日本市場での収益モデルを明確にし、日本語または英語で説明できるようにします。
  2. オフィスの選定: ビザ要件を満たす物件をリサーチします。
  3. 専門家チームの結成: 日本語に不安がある場合や、最短での設立を目指す場合は、外国人起業支援に強い司法書士・行政書士にコンタクトを取りましょう。
  4. 公的機関への相談: 日本政府(法務省)のウェブサイトで最新の法的要件を確認してください。

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